令和6年3月文楽入門公演「BUNRAKU 1st SESSION」

有楽町よみうりホールに令和6年3月文楽入門公演「BUNRAKU 1st SESSION」を観に行った。大道具の替わりにアニメーションの背景美術を用いて、曽根崎心中の「天神森の段」を上演するという企画。 私は文楽は国立劇場で一度観たことがあるきりだが、今回のジブ…

METライブビューイング2023-24「カルメン」

METライブビューイング2023-24「カルメン」鑑賞。1820年頃のセヴィリアから現代のアメリカに舞台を移し、弱冠27歳のアイグル・アクメトチナが歌うカルメンの若々しい魅力には圧倒された。タンクトップと太腿丸出しのショートデニムに工場の作業服を羽織った…

藤原歌劇団「ファウスト」(2024年2月)

東京文化会館で藤原歌劇団の「ファウスト」を鑑賞。 私は原作でもメフィストフェレスのちょっとコミカルで皮肉屋なキャラクターが好きなんだよね。オペラでもメフィストフェレスがファウストの前に現れる場面の「膨らんだ財布に豪華なマント 要するに私は本…

グランドシネマ「日本橋」

シネマ歌舞伎でグランドシネマ『日本橋』を鑑賞。これは2014年にも観ているのだけど、ほんとに素晴らしい作品。お孝が自分を「姉さんの人形」になぞらえて葛木を誘惑する場面で人形の映像がオーバーラップするのは余計だったけど(笑) 今回、お孝の最期の「…

シネマ歌舞伎「海神別荘」

シネマ歌舞伎「海神別荘」、海老蔵(今の團十郎)が公子の役にぴったりだった。若々しくて爽やかで、いかにも王子様然としている感じ。海老蔵の公子は男でありながら男という性別を超越していて、玉三郎の美女ももちろん性別を超越していて、泉鏡花作品の幻…

高尾山、そして六根清浄と大天狗・小天狗

高尾山薬王院の夏のライトアップに行ってきた。 16時頃八王子で軽く食事してからタクシーでケーブルカーの乗り場(清滝駅)に向かう。タクシーの車窓からお神輿が準備してあるのや法被を着ている人達も見え、どうやら地元の氷川神社のお祭りがあるらしいこと…

2023年7月 シェ松尾・松濤レストラン

32歳の誕生日だったので、ずっと気になっていたシェ松尾・松濤レストランでディナーした。 大正時代に建てられた洋館の一軒家で、ちょっと早めに着いてしまったのだが、バーのあるウェイティングルームに案内された。置いてある調度品がまさに昔の映画に出て…

「THEATER MILANO-Zaオープニングシリーズ COCOON PRODUCTION 2023 少女都市からの呼び声」

THEATER MILANO-Zaオープニングシリーズの「COCOON PRODUCTION 2023 少女都市からの呼び声」観てきた。 「新諸国物語」という1952年からNHKでラジオドラマとして放送された北村寿夫原作の一連の冒険活劇があり、このシリーズドラマの中に「笛吹童子」(1953…

ジャン・コクトー『美女と野獣 4Kデジタルリマスター版』

早稲田松竹の特集上映「早稲田松竹クラシックスvol.203/ジャン・コクトーとその時代」でジャン・コクトーの『美女と野獣 4Kデジタルリマスター版』を観た。 私はコクトー原作の映画は『オルフェ』と、あとおそらく『恐るべき子供たち』も観たことがある。…

鈴本演芸場 6月上席 夜の部

6月10日、鈴本演芸場の6月上席 夜の部に行った。自分が聴いたのは 隅田川わたし:『道灌』 古今亭菊正:『締め込み』 三増紋之助:曲独楽 春風亭一蔵:『権助魚』 古今亭菊丸:『千早振る』 林家楽一:紙切り 柳家喬太郎:『オトミ酸』 桂文我:『八岐大蛇』…

猿之助さんのこと

馬鹿、馬鹿、馬鹿、自殺なんてしようとすることなかったんだ、本当に馬鹿なことをして。 やるせない口惜しい思いと、昨今の週刊誌の有名人だからといってプライベートや不祥事を過激に叩く風潮に対する憤懣やるかたない思いがあって、夜毎猿之助さんの件につ…

METライブビューイング2022-23「ローエングリン」

METライブビューイング2022-23『ローエングリン』鑑賞。 第1幕第2場で、ラッパと呼び出しが再び繰り返され、エルザが祈ると、トランペットでかすかに「ローエングリンの動機」が響く。河の彼方から白鳥の曳く小舟に乗った騎士が近付いてきたのだ。輝かしく鳴…

2023年4月 桜なべ 中江

先日、気になっていた三ノ輪の「桜なべ 中江」に夕食で訪問した。 桜鍋の「桜」は馬肉のこと。江戸時代は獣肉を食べることが禁止されていたので、人々は桜肉(馬肉)、牡丹(猪肉)、紅葉(鹿肉)といった隠語を使って肉を楽しんでいた。また、馬は機嫌が悪…

壽初春大歌舞伎第三部「花街模様薊色縫 十六夜清心」

壽初春大歌舞伎で『十六夜清心』鑑賞。百本杭川下の場の、心の弱さから盗みという罪を犯してしまい、うっかり・意図せず・偶然の間違いで人を殺してしまい、そのようにたまたま罪が重なってしまった結果、「待てよ…一人殺すも千人殺すも同じこと」と心が悪に…

2022年11月 宮坂

日本料理の「宮坂」に夕食で訪問した。六本木ヒルズの「茶寮 宮坂」に2回行ったことがあり、「御料理 宮坂」の方にも行きたいとずっと思っていたのだが、「御料理 宮坂」から「宮坂」に屋号を変えてリニューアルオープンしていたとは知らなかった。 お酒はグ…

溝口健二『お遊さま』

溝口健二『お遊さま』鑑賞。 谷崎潤一郎の『蘆刈』の映画化ということで、溝口健二作品の中でも気になっていた。『蘆刈』は私の好きな作品。映像は昔のものらしくだいぶ荒くなっているが、谷崎文学の華やかな世界観を残している。 昭和初期の京都を舞台にし…

シネマ歌舞伎「新作歌舞伎 風の谷のナウシカ 前編」

シネマ歌舞伎「新作歌舞伎 風の谷のナウシカ 前編」鑑賞。七月に歌舞伎座で観た「風の谷のナウシカ 上の巻―白き魔女の戦記―」とだいぶ違った。 やっぱり菊之助さんのナウシカだと様式的な女方らしいというか、女方として成熟した感じ・重みがあるというか、…

フェリーニ『フェリーニのアマルコルド』

『フェリーニのアマルコルド』鑑賞。 フーマンチューがどうとかっていう台詞が出てきて、寺山修司の演劇に『怪人フー・マンチュー』っていう作品があるのでちょっと調べてみたら「フー・マンチュー博士は、イギリスの作家が創造した架空の中国人。西欧による…

フェリーニ『サテリコン』

フェリーニ『サテリコン』鑑賞。 サテリコンってなんか聞いたことあると思ったら、堕落した古代ローマを描いた小説『サテュリコン』を元にしているとのこと。フェリーニは自分の国であるイタリアの歴史に興味があったのだろう。 めくるめく映像美。映像のな…

シネマ歌舞伎「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」

シネマ歌舞伎『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』鑑賞。 私は原作の漫画やアニメの『ONE PIECE』を知らないのだが、人魚のケイミーがオークションにかけられているところに「待て、待て」と声がして、『パイレーツ・オブ・カリビアン』を思わせる海賊らしい勇壮…

2022年9月 赤坂 菊乃井

京都の老舗料亭「菊乃井」の赤坂店に行ってきた。門のところから石畳の道が長く続いていて、暗くなりかけた中足元に灯りが置いてあって京都や旅館のようだった。今回はカウンターだったが、カウンターの向こうにガラス越しに石灯籠の置かれた立派な日本庭園…

秀山祭九月大歌舞伎第三部「仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場」

秀山祭九月大歌舞伎第三部「仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場」「昇龍哀別瀬戸内 藤戸」鑑賞。 「祇園一力茶屋の場」は2021年の壽初春大歌舞伎でも観ているけれど、今回は仁左衛門の大星由良之助、海老蔵の平右衛門という豪華キャスト。お軽は雀右衛門さん。…

溝口健二『近松物語』

溝口健二『近松物語』鑑賞。 実際に起こった姦通事件であるおさん茂兵衛のことは井原西鶴も『好色五人女』で題材にしているが、この『近松物語』は近松門左衛門の人形浄瑠璃『大経師昔暦』が原作。 終始映像美が素晴らしい。二人の道行の美しいことといった…

八月納涼歌舞伎第三部「東海道中膝栗毛 弥次喜多流離譚」

8月14日、八月納涼歌舞伎第三部『東海道中膝栗毛 弥次喜多流離譚』鑑賞。コメディ。 歌舞伎で本水を使った舞台は初めて観た。中央部分の人々が配られたのであろうビニールをがさごそ用意し始めてもしかして?と思った。唐組の芝居をちょっと思い出した。 踊…

八月納涼歌舞伎第一部「新選組」「闇梅百物語」

八月納涼歌舞伎第一部『新選組』『闇梅百物語』鑑賞。 手塚治虫の漫画が原作の『新選組』は、「カラーン コローン」などの擬音が漫画そのままのフォントでパネルとなって登場したり、手塚作品のキャラクターがところどころに登場したりなど、遊び心のある舞…

シネマ歌舞伎「野田版・鼠小僧」

シネマ歌舞伎『野田版 鼠小僧』鑑賞。泣いちゃった〜。守銭奴の棺桶屋だった三太が、ひょんなことから義賊・鼠小僧ということになってしまい、騒動の中心に押し上げられていく物語。 歌舞伎座での上演は19年前。軽妙な言葉遊びと、勘三郎さんの喋りの芸、勘…

大人っぽい服装を好むようになった話

あんなに好きだったロリータ系の服を全然着なくなり、欲しいとも思わなくなった。大人っぽい、エレガント寄りの服を着た時の自分を好きになり、そういった服を好むようになった。 おそらく、「こういう服が着たい」ということと、「どう見られたいか」「自分…

容姿に異常に執着する私がセラミック矯正を試みた話

私は前歯が大きくて出ているのがコンプレックスだった。別にそこまで病的に出ているわけでもなく、それでいじめられたことがあるわけでもないが、小学生時代男子に口を引いて笑った時の表情を真似されてからかわれたのをずっと覚えている。それ以来笑う時に…

「脂肪と言う名の服を着て」

‪ネットの広告に釣られて安野モヨコ「脂肪と言う名の服を着て」を読んだ。摂食障害という共感できるテーマであり一気に読んだ。 主人公は太っていて醜く隠キャラな自分を「こちら側」、痩せていて美人で皆の中心的存在かついじめの主犯格であるマユミを「あ…

ファッションは武装か?

‪ファッションが武装だと考えたことは全然ない。今はファッションを手段として用いているが、むしろ武装とは真逆で、「私は武装していませんよ、安心してください」「私にはこの通り隙がありますよ」というメッセージを伝えることで、「自分でもいけそう」と…