フェリーニ『フェリーニのアマルコルド』

フェリーニのアマルコルド』鑑賞。

フーマンチューがどうとかっていう台詞が出てきて、寺山修司の演劇に『怪人フー・マンチュー』っていう作品があるのでちょっと調べてみたら「フー・マンチュー博士は、イギリスの作家が創造した架空の中国人。西欧による支配体制の破壊を目指して陰謀をめぐらす悪人であり、東洋人による世界征服の野望を持つ怪人」とのこと。『フェリーニのアマルコルド』ではどういう意味で使われてたんだろう。

フェリーニの他の作品にも言えるが家族での食卓のシーンが美味しそう。(現代の私から見たら)決して豊かとは言えない様子の家庭だけど、家庭料理っぽいスープを食べたり狭いテーブルでみんなでひしめき合って、女中が給仕したり。

グランドホテルの風呂の中でヴェールをつけたアラブの美女達が踊るシーンがなんとも官能的。

グラディスカは見た目によらず感受性が高く純粋な心の持ち主で好感が持てる。この人物に一番感情移入する。グラディスカがお嫁に行く最後のシークエンスはとても切ない。

故郷の町の一年の季節、母の死、憧れの人との別離を通して、少年が大人へと成長する過程を描いた物語といえるだろうが、全体を通してまるで上質な小説を読んでいるよう。

ちなみにアマルコルドっていう名前は新宿のSMバーの名前として知ってたんだけど、たぶんこのお店の名前もフェリーニのアマルコルドから取ってる。