フェリーニ『サテリコン』

フェリーニサテリコン』鑑賞。

サテリコンってなんか聞いたことあると思ったら、堕落した古代ローマを描いた小説『サテュリコン』を元にしているとのこと。フェリーニは自分の国であるイタリアの歴史に興味があったのだろう。

めくるめく映像美。映像のなんたる陶酔感。陶酔と頽廃とデカダンス。個人的にめちゃくちゃ好きな映画。

饗宴のシーンの食事がすごく美味しそうだった。丸焼きにした豚が運ばれてきて、臓物を抜いていないと指摘され料理人が豚の腹を割ったら、中からツグミや肥えためんどり、小鳥の腹、ハト、腸詰め、山バト、カタツムリ、レバー、ハムなどがバラバラと大皿の上にこぼれ出てきて、それを皆で手掴みで食べる。私もこういう料理が食べたい。

8 1/2』でもそうだったが時々カメラをじっと見つめている(観客であるこちらと目が合う)人物達がいるのが気になる。

海から引き上げられる巨大な魚のシーンは『甘い生活』にもあった。このように物語の筋とは無関係にばかでかい物体が出現するのはシュールでいい。でかい顔のオブジェが道の向こうを通り過ぎたりなど。

砂漠で詩人がエンコルピオに語る「お前に季節をやる 特に春と夏だ」で始まる台詞が美しい。「木々や そこに住む生き物もやろう」など。

飼い葉桶に寝かされていたイエス・キリストを思わせる、籠の中に眠る「神の子」の体が両性具有だというのも冒涜的で笑える。

ミノタウロスとの決闘からの大笑いのシーンは、『真夜中の弥次さん喜多さん』的なカタルシスがある。そういえばこの作品自体が『真夜中の弥次さん喜多さん』やダンテの『神曲』のような地獄巡りというか、悪夢巡りの遍歴の相を呈している。

激ヤバ映画。(褒め言葉)