八月納涼歌舞伎第一部「新選組」「闇梅百物語」

八月納涼歌舞伎第一部『新選組』『闇梅百物語』鑑賞。

手塚治虫の漫画が原作の『新選組』は、「カラーン コローン」などの擬音が漫画そのままのフォントでパネルとなって登場したり、手塚作品のキャラクターがところどころに登場したりなど、遊び心のある舞台だった。私はあまり手塚作品を読んでいないのだが、昔手塚作品に親しんだ人は楽しめたのではないだろうか。

『闇梅百物語』は自分好みだった。百物語で一つ残った灯火を消すことになってしまい奥女中達に無理矢理手を引かれて連れて来られる、七之助さん演じる小姓・白梅が可憐で可愛らしかった。この小姓というのは少年ではなく、武家方の奥向きに仕える女小姓のこと。嫌がる女小姓を奥女中達が無理矢理引っ張ってくるのは『春興鏡獅子』にも見えますね。灯火を吹き消して気を失った白梅が顔を上げるとのっぺらぼうになっている、という怪談らしいエピソードを皮切りに、様々な妖怪変化達が登場する。日本の怪談の妖怪はおかしみのあるものが多く、私は好き。

狸と河童が源兵衛堀で七五調の台詞で傘を奪い合う様子は、作者三代目河竹新七のお師匠、河竹黙阿弥の『三人吉三』を思い出しました。思い出しませんでしたか?

千之助さんの新造の羽子板を使った振りも可愛らしかったし、勘九郎親子演じる読売のかっぽれも賑やかで楽しかった。

百物語、やってみたいけど、大勢集まって百話語るんじゃ時間がかかりそうな気がする。四、五人くらいでやれないものか。