2023年4月 桜なべ 中江

先日、気になっていた三ノ輪の「桜なべ 中江」に夕食で訪問した。

桜鍋の「桜」は馬肉のこと。江戸時代は獣肉を食べることが禁止されていたので、人々は桜肉(馬肉)、牡丹(猪肉)、紅葉(鹿肉)といった隠語を使って肉を楽しんでいた。また、馬は機嫌が悪い時に後ろ足で人を蹴飛ばすことから、昔は桜肉料理の店を「蹴飛ばし屋」と呼んでいたらしく、落語の中にも「蹴飛ばし」という言葉が出てくる。

かつて吉原大門前の通りには、多くの桜鍋の店が並び、吉原遊郭の客に食されたらしい。明治38年創業で創業117年の中江も、そのうちの一軒。店舗ももうすぐ築100年で、登録有形文化財に指定されているとのこと。

マップで三ノ輪駅からの道を確認していたら「吉原大門」という名前の交差点の手前に店があって、おっ、「大門で止められます」の大門じゃん!と興奮した。(←落語『明烏』のサゲ)なお、後で調べてみたら吉原大門は地名として残っているばかりで門の跡は残っていないらしく、見返り柳は一応あるらしい。あと、今回は訪れてないけど三ノ輪駅の近くには遊女の投げ込み寺もあるらしく、こちらもちょいと気になる。この辺のことを語っているとキリがない。

実際に三ノ輪駅から土手通りをだらだら歩いて行くと、なるほど歴史を感じる中江の店が建っている。なお、隣にあるのはこれも登録有形文化財の天丼屋「土手の伊勢屋」で、こちらも相当古い。
中江の店内はやはり昔に建てられただけあって全体的にこぢんまりとしていて座席も狭かった。今回は大広間の座敷ではなく掘りごたつの席だったのだが、座敷もよさそう!

コースを注文したので、日本酒を差しつ差されつ馬刺しやタロタロユッケなどを楽しんだ後、桜鍋をつついて、〆は「あとご飯」。あとご飯は食べ終わった鍋に溶き玉子を入れ強火でふんわり仕上げ、ご飯にかけて食べる玉子丼のようなものだが、これも美味しかった!

最近こういう店が好き。