METライブビューイング2022-23「ローエングリン」

METライブビューイング2022-23『ローエングリン』鑑賞。

第1幕第2場で、ラッパと呼び出しが再び繰り返され、エルザが祈ると、トランペットでかすかに「ローエングリンの動機」が響く。河の彼方から白鳥の曳く小舟に乗った騎士が近付いてきたのだ。輝かしく鳴り響くファンファーレ。オーケストラは「ローエングリンの動機」を力強く奏でる。この場面の盛り上がりはいつ聴いても感動する。そして騎士が「ありがとう、かわいい白鳥よ」を歌うのだが、この伴奏に現れるオーボエクラリネットの和音形は、長3和音と短3和音の結合で、「白鳥の動機」となっているらしい。私は音楽の専門的な知識がないので長調短調や和音については分からないが、とにかくこのあたりの雰囲気も清澄な・天上の音楽といった感じである。

また、第3幕第3場、「聖杯の動機」に導かれて、ローエングリンが「あなた方が近付くことのできないはるか遠い国/そこにはモンサルヴァートという名の城があります」と静かに「名乗りの歌」を歌い始める。テノール歌手の聴かせどころであるこの歌も、この世のものとは思われぬ、まさに天上のような、崇高な美しさで、優しい歌い出しから、名乗りの瞬間に向けてだんだん力強く盛り上がっていく様子は、何度聴いても感動する。